親がやってしまう子供への間違った水泳指導
市民プールなどに行くと、お父さんが子供に泳ぎを教えている姿を見かけますが、そのほとんどが間違った指導であることが多いです。
ではどんなものが間違っているのかというと
- 25mを目標に泳がせてみる
- まずはクロールでなんとか泳がせる
- クロールの息継ぎは横向き
- 苦しくなったら息継ぎをさせる
- とりあえず手と足をたくさん動かす
一見、それほど間違っているようには見えないが、クロール(息継ぎ有)を習得するには一つずつ順をおって練習していく必要がある。
スポーツクラブの子供のクラスの進級テストの項目もクロール合格まで最低でも10個の課題をクリアしないと辿りつかない。
それを全てすっ飛ばして25mクロールを泳がせるのは子供がかわいそうである。
またそれができないことで「自分は泳げない」「水泳はツライんだ」と水泳嫌いになる可能性があるので注意してほしい。
だがお父さんもプロではないのでインストラクターのように指導しろと言われても酷な話である。
では子供も水泳が好きになる簡単な導入方法を紹介していく。
素人でも簡単にできるクロール指導の基本
まずは目標設定。
目標はできるだけ達成しやすいものを設定していく。
特に子供は達成する喜びを知ることでスポーツを好きになっていくので、できるならばたくさん最終目標までにたくさん達成目標を作ってゴールに近づけていく。
まずはこの3ステップのクロールを行うべし
- 5秒間バタ足
- 4回手を回してクロール(息継ぎ無し)
- 5m(幼児)・8m(小学生)までクロール(息継ぎ無し)
子供が泳いでいるときは近くで数を大きな声で数えてあげるとより良い。子供は泳いでいても結構声は届いていて、一緒にいてくれる安心感も与えられる。
小学生にもなると上手に泳げれば真ん中(12.5m)ぐらいまでは息継ぎ無しでいける。
息継ぎを習得していないのであれば、小学校で25m泳ぐ際も下手に何回も息継ぎするよりも1・2回死ぬ物狂いで息継ぎをした方が体力の消費が抑えられる。
【息継ぎ無しで8m泳ぐ】というのは【バタ足と手の掻きで泳げている】という指標になる。
それができないで息継ぎの練習をしようとしても進まずにただ呼吸をしているだけになってしまう。
では【息継ぎ無しで8m】がクリアしたら次はやっと息継ぎの練習である。
息継ぎも3ステップである。
- ビート版を使って息継ぎの練習をする。
- ビート版より少し小さい浮力のもの(半分のビート板やプルブイ)を使って練習。
- 道具を何も使わずにクロールをする。
☆ポイント☆
- 息継ぎをする際に腕と顔を離さない
- 息継ぎの際は「ぱっ」と必ず言う。
- 始めは天井や空を見て息継ぎをする
- 必ず手を前でそろえてから手を動かす
- ある程度リズムよく手を回す。
- 水中では鼻でも口でも息を出す
クロールの息継ぎの基本はバタフライでも平泳ぎでも同じなので、しっかり身につくまで練習していい。
もし息継ぎの際に手が下がったりしても息が上がっていなければリラックスして泳げていて、息継ぎ自体はできているので、距離を伸ばしていってもいいだろう。
始めは12.5mを目標に25m泳げるようにがんばろう。
余談
これまで書いたのは基本子供に向けての指導法だが、もちろん大人にも有効。
漠然と「クロールを泳げるようになろう」と思うよりもしっかり回数や距離を決めて練習に臨んだ方がいい結果が得られる。
そして1回2回の練習で上手くはならない。
少なくとも週に1・2回は泳げる時間を作っていくことが大事。
またがむしゃらに練習してもダメ。
しっかり進んでいるか。息継ぎはできているか。進んでいないなら何が原因なのか。
しっかり振り返って繰り返し取り組んでいくことが大切である。
またスイミングスクールではクロール→背泳ぎ→平泳ぎ→バタフライの順に泳法を教わるので、背泳ぎが泳げなければバタフライを教わる機会はない。
しかしだからといって『背泳ぎを泳げない人はバタフライができない』というわけではない。
クロールを25m泳げるようになったら、違う泳法にチャレンジするといつの間にかクロールも上達するということもある。
クロール・平泳ぎ・バタフライをマスターすれば必ず背泳ぎもできるようになる。
「バタフライなんて疲れるだけで必要ない」と練習しない人もいるがそれは間違い。
水泳の練習はただでさえ短調で一人での練習なので、4泳法で練習できる方が飽きがこないで練習のバラエティが広がる。
余談の方が長くなったが、どんな大人もどんな子供もある一定の泳力までは誰でも泳げるようになる。
ぜひ、4泳法ぐらいはマスターしてほしい。
コメント